「時をかける少女」の感想あらすじ
【キャスト】
仲里依紗、石田卓也、板倉光隆、原沙知絵、谷村美月他
【あらすじ】
まず「時をかける少女」というたくさんの作品があることをお伝えしたい。
原作「時をかける少女」が1967年に刊行されて以降、様々な形式で映像化されている。
今作は原作の20年後という設定。
当時の主人公芳山和子は主人公真琴のおばとして登場している。
あるきっかけでタイムリープの能力を身に着けた女子高生真琴を中心に青春と時を駆け巡るストーリー。
当初、ミニシアター並みの規模からスタートしたものの、異例のロングランとなり、海外でも高い評価を受け、青春映画の傑作と評価も高い。
「時をかける少女」のみどころ
・様々な瞬間を詰め込んだ映画
・現代の女の子の理想像、突き抜けた役柄と切なさの同居
・緻密なロケハン、設定作りによるリアリティ
様々な瞬間を切り取り、詰め込んだ映画
大きく言えば、青春という大きな瞬間を詰め込んだのが「時をかける少女」と言えます。
今しか味わえない、キラキラとしているけれど儚い、人生の中でも独特の時間。
そして、自分だけが知っていると思っていた秘密がばれた瞬間。
もう二度と会えないとわかっている別れの瞬間。
そして何度となく無邪気に、ときに切実に時間を超えていくタイムリープの瞬間。
タイトルにある「時」を駆け抜けていくのは真琴?もしかして見ている私たち?
「Time waits for no one」、光陰矢の如し。
たびたび登場するこのキーワードによって、私たちも果てしない、でも一瞬の時を巡っていくようなストーリーです。
現代の女の子の理想像、突き抜けた役柄と切なさの同居
とにかく仲里依紗の真琴が最高です。
思いっきりの良さ、能天気、先のことはあんまり考えられない、現代の女の子の生き生きとしたイメージを見事体現しています。
また何かを失った時の喪失感、切なさ、思いっきり泣いちゃう真琴も青春映画ならではの魅力。
仲里依紗の真琴は青春時代の二面的な女の子の魅力を、憧れの気持ちと共に味わわせてくれます。
「あなたは私みたいなタイプじゃないでしょ」
かつて20年前に高校生だった和子のセリフ。
「未来で待ってる」「うん、すぐ行く。走って行く。」
真琴と千昭の永遠の別れのセリフ。
真琴らしさが十二分に伝わる言葉たちです。
緻密なロケハン、設定作りによるリアリティ
細田監督作品全般に言えることですが、アニメにしてはとても緻密なロケハン、設定がなされています。
たびたび登場する川の土手、自宅から駅までの坂のある町、学校。
印象的な風景、景色はほぼロケハンによるモデルがあるようです。
制服も実際の高校の制服をもとにデザインしているそう。
また声、しゃべり方のリアリティのため、高校生役の声優さんは現役高校生だったそう。
細かい配慮、設定の数々がアニメなのにリアルな世界を作り出しています。
最後にもう一つ。
現在と未来、真琴と千昭を繋ぐアイテム、絆として、非常に重要な一枚の絵画、「白梅二椿菊図」。
東京国立博物館所蔵、修復中の設定で登場します。
監督曰く、「涅槃、ある種の救いを感じさせる」作品として、東京国立博物館の実際の研究員(なんと監督の大学の同級生!)に展覧会のキュレーションを依頼。
展覧会に並ぶ絵の数々の設定までしているそうです。
「時をかける少女」のキャストの魅力
仲里依紗
主人公の紺野真琴の声を演じています。
仲里依紗さんが年齢的にもキャリア的にもまだフレッシュだった頃の作品で、豪快、おっちょこちょい、能天気、そんな女子高校生を生き生きと演じています。
原作や実写映画版のころとは違う現代の女の子らしい真っすぐさ、そして自分で運命を変えていく強さが伝わります。
原沙知絵
真琴が何かと相談に訪れる「魔女おばさん」芳山和子の声を演じています。
真琴のやること、言うことをなんでもニコニコ聞いてアドバイスをしてくれますが、クールで、シビアな反応。
そんな物事に動じない姿をあやしむ真琴は「魔女おばさん」と呼びつつも、慕っています。
そして物語の重要な分かれ道、岐路で、真琴に決断を促す印象的なセリフを残し、背中を押してくれるのです。
石田卓也
未来からある絵を見るためだけにやってきて、高校生に紛れ込んだ間宮千昭の声を演じています。
物語の前半では、だらっとチャラチャラした高校生ぶりが板についているのですが、
未来から来た人物という素性が分かったとたん、語り口、声の陰りが突如浮上します。
その変化に映画を流れる空気、湿度、時間の重さも変化していくかのよう。
いろんな意味でムードを作るのが大変うまい役者さんだと感じました。