『あやしい彼女』のあらすじ
【キャスト】
多部未華子、倍賞美津子、要潤、北村匠海、金井克子、志賀廣太郎、小林聡美、温水洋一、越野アンナ、Kilt、野村周平
【あらすじ】
74歳の瀬山カツ(倍賞美津子)は、二十歳の娘・大島節子(多部未華子)に生まれ変わり、若い頃やりたいことも出来ず苦労の連続だった時代を取り戻していく。
カツの娘・瀬山幸恵(小林聡美)と孫・瀬山翼(北村匠海)と3人で暮らしている。カツの夫は幸恵が小さいときに亡くなり、苦労をして育ててきた。
ある日、幸恵と口論になり家を飛び出してしまう。
行く当てもなく神社の境内に座っていると、商店街は閉まっているのに写真館から突然灯りが皓々と光りだす。吸い寄せられるように建物の中へ。
カメラマン(温水洋一)が「お姫様になりますよ」と微笑みながら写真を撮ると、なぜか若くなってしまった。
時間を取り戻すように若さを謳歌するカツの青春の物語。
『あやしい彼女』のみどころ
・のど自慢で昭和歌謡を披露する主人公の美しさ
・昭和歌謡で歌手の道へ
・イケメン音楽プロデューサーとの恋
のど自慢で昭和歌謡を披露する主人公の美しさ
若くかわいい娘になったカツは、大島節子(多部未華子)と名のり、幼なじみの中田次郎(志賀廣太郎)が営む銭湯へ嘘をついて住み着いてしまいます。
若くなっても中身は口に悪いカツそのものなのでギャップで笑えます。
ある日、のど自慢大会で「見上げてご覧夜の星を」を歌うと、それはもう美しい声で歌い上げます。
その場にいた、お客さんはうっとりして聞き入っています。バンド活動をしている孫の翼もあまりの美声に固まります。
そして、翼はバンドボーカルに誘い、節子も孫のために引き受けます。
昭和歌謡で歌手の道へ
翼の歌はうるさいだけで、自分に酔っているだけの最悪のボーカル。
節子は「そんなんじゃだめだ」と、「歌は心で歌うもんだ」と歌の本質をバンドメンバーに切々と訴えかけます。
翼たちが「じゃあ、どんな歌を歌うんだよ!」詰め寄ると、節子は「太陽の季節」(美空ひばり)をのりのりで歌います。
翼たちも気に入り、昭和歌謡を翼たちと路上ライブすると、どんどん人気者になっていきました。
そして、音楽プロデューサー・小林拓人(要潤)の目にとまりメジャーデビューの可能性を見いだします。
そんな中、幸恵は家出したカツを探すために数少ない知人を訪ね歩き、カツの苦労と自分への愛情の深さに気づいていきます。
幸恵のカツを責め立てるシーンは心が痛くなります。「なにも出来なかったって私のせいでばかりにして、好きなことすればいいじゃない!」と。
親の心子知らずとは、よく言ったものです。
イケメン音楽プロデューサーとの恋
バンドのプロデュースと応援する小林と節子は急激に近づいていきます。
音楽番組に出演することが決まり、節子は「悲しくてやりきれない」(ザ・フォーク・クルセターズ)を過去の苦労を思い出しながら熱唱します。
この多部の演技と歌に涙で画面が見えないほどです。
次郎は、カツが節子だと気づき、複雑な気持ちで小林との関係を見守っていきます。
次郎の演技が志賀の飄々としている中にも骨のある男性を演じていて、次郎の生い立ちとかぶり感動さえ覚えます。
そして、最大のチャンスであるフェスの参加が決まり、みんな張り切っていました。
出演直前に翼が事故に遭い瀕死の状態で会場にたどり着きました。
節子の体は出血すると元の74歳の体に戻っていきます。
そのことに気づいていましたが、翼を救うため血を翼へと流れていきます。
場面は一転し、元気な翼をカツと幸恵が見ています。
ここで、あー助かったんだと安心するもカツの姿に、あー、夢物語は終わったんだなと自覚します。
節子は消え、カツは元の年齢に戻り、幸恵とも理解し合えて嬉しいのだけど、何だか悲しくなります。
そう、小林との恋はおわり、思い出もなくなりました。
次郎は若い男(野村周平)になって、「写真館のおやじ、腕がいいね」とつぶやき、カツと次郎はぴったりくっついてベスパに乗って走り出す。
辛かった青春も、二人を乗せたバイクとともに過ぎ去っていきます。
『あやしい彼女』のキャストの魅力
倍賞美津子
カツという、捻くれた口の悪いおばあさん役はぴったりです。
どんな役も倍賞美津子という女優に変身していきます。
ボサボサ頭とファンキーな衣装にはカツの苦労と生き様が反映しています。
倍賞美津子にしか演じられないカツだったのではないでしょうか。
多部未華子
若き演技派女優と誰もが認める女優。
子役時代を経て大人の女優になった数少ない存在ではないでしょうか。
昭和歌謡を情感込めて歌い、74歳のおばあさんの内面まで演じられるのには並々ならぬ努力と経験が必要な筈。でも、さらりと演じるのだから凄いです。
志賀廣太郎
シリアスからコメデまで幅広い役をこなす俳優。志賀廣太郎が画面に現れると、絶対面白いと、安心します。
次郎が純粋にカツのことを思う切なさが胸に迫り、戦争孤児だった場面は涙腺崩壊になります。
低音の声と独特の間も唯一無二で、亡くなられてもこの存在感は永遠です。